モータ保守点検

日常点検

日常は、運転状態にあるモータ内部の細かい点検はできませんが、次の項目について、常に状況 を把握されますと、異常の早期発見に役立ちます。
・外観、音、においなどの日常点検
・モータおよび周辺の温度監視
・モータおよび周辺の振動状態

次に上記各項目についての詳細点検内容を述べます。この点検内容と、このときの運転状況を記 録しておくことをお奨めします。

1)日常点検項目

下表をもとに点検してください。

日常点検表

点検項目

点検要領

推定原因

対  策

備  考

 

締付け部

 

接続部の変色

締付け部の緩み

増締め  *1

*1:増締めは、規定の
トルクで行なってください。

*2:ごみ、ほこりは電気掃除機で吸い取ってく ださい。

*3:最寄りのメーカーサービス 担当部門にお問い合わせ ください。

*4:結露原因を調査し、 必要に応じて除湿器 を 設置してください。

汚れ

清  掃    *2

電  線、 ケーブル

損  傷

外傷、亀裂

交換修理

腐食変形

異物付着、汚れ

清  掃    *2

 

端子箱

 

変色、発錆、腐食

塗料の劣化

再塗装

水滴等の付着

水分浸入の防止

特殊ガスの存在

ガス侵入の防止

局部過熱

詳細調査要  *3

 

臭  気

 

異常な臭気

過負荷

負荷の低減

局部過熱

詳細調査要  *3

 

全  体

 

結  露

 

 

*4

2)温度上昇測定と判定基準

運転状態にあるモータの温度上昇値が通常範囲から逸脱していないことを確認します。 温度上昇値は測定温度から周囲温度(冷媒温度-20℃~40℃)を引いて求めます。
測定器    :温度計、サーモカップル等
部  位     :軸受部、モータのフレーム、端子箱
判定基準 :日常記録値との差が大きい場合は運転を停止し詳細点検が必要です。 モータの固定子巻線部および軸受の温度上限限度を下表に示します。

温度上限限度(単位K)

部  位

測定方法

耐熱クラス

固定子巻線

抵抗法

75

80

105

軸  受

温度計またはサーモカップ
ルで表面測定

55

定期点検

定期点検は、運転を停止し、元電源を切ってから行なってください。 また、開放した元電源には“操作禁止”の札をかけて作業中の誤操作を防止してください。
定期点検は、取付状態で1,2年に1回実施していただければ、支障なく運転できます。

屋外用電動機の場合、負荷側、反負荷側の一方、または両方の軸貫通部にゴム製水切カラーを取 り付けている機種があります。1年に1回程度、水切カラー状態を確認していただき、劣化(表 面にひび、き裂などが発生)していれば、水切カラーを交換してください。

軸受はシールドベアリングを採用し、長寿命のグリースを封入しています。定期点検では、軸受 まわりのごみを清掃してください。

軸受は運転によって磨耗し寿命に至りますので交換が必要です。交換の目安は一般的に20,000時 間です。交換の際は、最寄りのメーカーサービス担当部門にご相談ください。(交換時に損傷を与えたり、使用する軸受を間違える恐れがありますので、軸受交換は専門家に お任せください。)

使用する軸受は、銘板に表示のものとし、軸受内部すきまの記号表示のないもの は、CMすきま(電動機用すきま)のものです。 軸受は、ゴム製水切カラーがある場合は、同時に交換してください。